店主のひとりごと

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色のイメージ
2021/12/29
クレヨンで絵を描いてみましょう!
頭の中でイメージするだけでもいいですよ。

まず太陽を描いてみてください。クレヨンは何色を使いますか。
太陽の下には実がなった桃の木をお願いします。桃の実は何色にしますか。
チューリップを1本だけ描いてみましょうか。チューリップは何色ですか。

さて、あまり深く考えずに描けば、太陽は赤、桃はピンク、チューリップは赤か黄色じゃありませんでしたか。
そーですよね、ふつーそーですよね。太陽は赤で、桃はピンクですよね。幼稚園の子どもだって、そう描きますよね。私の中では太陽は赤、桃はピンクは常識でした。

でも一歩海の外に出ると、これ、違うんです。
太陽は黄色、桃はオレンジ! な、なんと!! 太陽、黄色に描いたら満月じゃん!桃をオレンジで描いたらみかんじゃん!と叫んでも、太陽は黄色、桃はオレンジと認識している人たち、数あまた。

彼らに言わせると「太陽のどこが赤?桃もピンクの要素ないでしょ? 皮の一部がちょっとピンクかもしれないけど大部分はオレンジっしょ。オレンジで納得できなければ”薄い”オレンジでもいいよ」らしいです。チューリップはいろんな色があるから、別に赤と黄色に限定しなくてもよくね?とのこと。

日本ではピンクを「桃色」っていうんだよ、だから桃はピンクなんだよ!と説明しても、肩をすくめるだけ。
太陽が黄色なら、じゃあ月は何色だってんでぃ!と聞けば、「月は白」。
月を白く描くのは芸術家だけだよ、子供はみ~~んな黄色を使いますよーだ。とこちらはなぜか喧嘩腰になってきます。

というくらい、色の見え方って全然違うんだなと思いました。色から連想するイメージも全然違いますよね。
ひと昔前、赤いランドセルは女の子、黒いランドセルは男の子でした。 今でもトイレのマークは女性用は赤、男性用は黒か青。反対だったら、きっと間違える人続出だと思いますが、フランスでは赤は闘争の色、強い色なので、男の子が好む色だそうです。でやんでぃ!こちとら女戦士だい!赤が男だなんて誰が言ってんだいっ!と再度喧嘩腰。

でも、色の見え方、捉え方って本当におもしろい。国によって人によって、あるいは気分によって千差万別。日本の常識は世界の非常識かもしれない。当たり前ってなに?普通ってなに?って色からも考えさせられます。


下の写真は挑戦状でも果たし状でも、タイマンの呼び出し状でもなく、今風にアレンジしたレターセットです。おめでたさとか喜びを表現したくて赤で梅の花を結びましたが、もしかしたら戦いの色って思われてる?挑戦状とか? まさかね、そんなことないです。
でも遠目には赤いまる、梅じゃなくて太陽と思っていただいてもいいですよ。



色のイメージ
色のイメージ
「日本の美しい色と言葉~心に響く和のデザインが作れる本」
2021/12/28
っていうのが最近の愛読書というか、よく眺めている本です。水引を選ぶ時の参考になればいいかなくらいの気持ちで購入したのですが、時間があると本を開いています。

きれいな色やデザインを見ているだけでも楽しいし、たまにあるコラムもおもしろい。

私が特に好きなのは「オノマトペからイメージする色」のパート。いわゆる擬音語擬態語から連想される色をまとめています。簡単に言えば「ふわふわ」ということばを色にすると何色になるのかってことです。「ふわふわ」からどんな色を想像しますか。

ここで取り上げられているオノマトペは「ふわふわ」「きらきら」「わくわく」「ひらひら」「しとしと」の5つだけですが、個人的にはもっと充実させてほしかったなぁ。「どきどき」「さらさら」「しくしく」「ざーざー」とか、日本はオノマトペの宝庫です。

あと興味深かったのは、「日本人の色のルーツ」というコラム。日本での原始の色は赤、白、青、黒の4色だったとか、その後中国から五行の考え方が入ってきて、五行のそれぞれに対応する色が活用されるようになったとか、律令制の時代には特定の地位の人しか使っちゃいけない禁色と誰でも使っていい聴色に分けられたとか、色の歴史はおもしろそうです。

この禁色と聴色、読み方は「きんじき・ゆるしいろ」だそうです。読めねー。ちなみにどんなにがんばって立身出世しても使うことが許されない絶対禁色があります。天皇と皇太子皇太子だけに許された色。天皇の袍の色の「黄櫨染」と皇太子の袍の色の「黄丹」。こっちもすんなり読めねー!

日本の色は漢字のお勉強でもあります。
「日本の美しい色と言葉~心に響く和のデザインが作れる本」
「日本の美しい色と言葉~心に響く和のデザインが作れる本」
日本の色
2021/12/19
日本の伝統色の名前が好きです。
瑠璃色とか梅紫とか、見れば字面にもドキドキするし、聞けばその響きにもク―ッときます。

時々、なんと読んだらいいのわからないものも登場します。
例えば、海松色。
最初に見たのは万年筆のインクでした。その名も「海松藍」かいしょうあい???うみまつあい???と戸惑いましたが、万葉集でも詠まれているそうで、教養のなさを露呈してしまいましたよ。わはは。

海松色は「みるいろ」。海藻が乾燥した色で、ぶっちゃけオリーブ色。このオリーブ色である海松色が室町時代の武士たちに幽玄を表している!と大人気になり、茶を濃くした海松茶や青を強くした海松藍などの色ができたそうです。万年筆のインクの「海松藍」はこの色だったんですね。

…っていうストーリーだけでも、なんか物知りになったような気になりませんか。伝統色の色合いも色名も好きだけれど、成り立ちの話もおもしろいんです。

最近気に入っているのは月白。
さて、なんと読むんでしょ。…素直に音読み、「げっぱく」です。月の光のような青みを帯びた白だそうです。
ところが、「つきしろ」と読むと月の上り始めのしらじらとした空の様子を表すみたいですよ。でも色としては「げっぱく」。
月白、いいなぁ。澄んだ夜空に浮かぶキーンとした月の光を連想します。

そして薄桜。
伝統色で赤系の色名はとても多く、中でもピンク系は本当に細かく分かれているように思います。
こちらはどんな色か想像できますよね。桜色よりず~っと薄いピンク。桜は日本人には特別な花のようで、桜鼠とか灰桜とか、桜関連の色は他にも数あまた。

もちろん水引にもその名前は使われています。
左が月白、右が薄桜。
くすんだ感じがきれいです。
作品を作る時、これだけでシンプルにいくか、他の色と組み合わせるか、非常に迷うところです。
それが水引の楽しみのひとつではあるのですがね。
日本の色
日本の色
水引の解体ショー その1
2021/12/10
ご祝儀袋でよく見かける水引は紙と糸を材料としています。
今日は普段見ることのできない、水引の中身を見てみましょう。水引の解体ショーです!

紙面の都合上、写真は2点、しかも文章の下部にしか掲載できないので、数回に分けてお届けしたいと思います。
ご面倒ですが、クリックしまっくってお読みいただければと思います。

では水引解体ショーの始まりはじまりぃ~。

水引は構造としては単純で、細くヨリヨリした和紙をのりで固めてそれに糸を巻き付けて作ります。最初は長~いのですが、普通売られているものは90㎝、またはそれ以下です。太さは0.9㎜~1㎜程度。
水引自体、割としっかりしていて、ソフトワイヤーくらいの張りはあると思います。指でつまんでもクニャっとせず、ピンと立ちます。
切ってみると、紙の部分と糸の部分がよくわかりますね。

では次はいよいよ水引を解体してみます。 水引の解剖です。
水引の解体ショー その1
水引の解体ショー その1
水引の解体ショー その2
2021/12/10
水引を切った部分の糸をピーっと引っ張ってみると細い糸がクルクルとコイル状になって和紙から離れていきます。ほっそ~~~い糸がクルクル丸まっている状態はかわいいです。
そしてその中からは、のりで固められた和紙が出てきます。1㎜ない位でしょうか。細いです!
ほっそ~い和紙にほっそ~い糸が巻き付けられていて、昔の人はこれを手作業でやっていたのかと思うと頭が下がります。 今はさすがに機械…?? え、今も手作業なのでしょうか。 いつか水引を作る過程を実際に見てみたいものです。

さて解剖を続けましょう。

糸をクルクルとはがす作業は結構快感。調子にのって3色ほどやってしまいましたが、よいこはやらないように。水引がかわいそうです。
和紙のよりもちょっと戻してみました。

この和紙、このまま広げていくとどうなるのでしょう。
次回は和紙の行方を追います。
むかれて撚りを戻された和紙はどうなってしまうのかっ!
衝撃の最終回、和紙の姿をお楽しみに!!
水引の解体ショー その2
水引の解体ショー その2

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